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全4回連載 第3回|正しい知識を、正しい指導へ──JASCATの挑戦

【プロフィール】

坂元 美子(さかもと・よしこ)
神戸女子大学 健康福祉学部 健康スポーツ栄養学科 准教授/管理栄養士。
NPO法人 日本スポーツコーチ&トレーナー協会 理事長。
病院研究室勤務、プロ野球(オリックス)での栄養サポートを経て、現在は育成年代の教育・スポーツ現場で「栄養・指導・教育」を一体で支える活動を展開している。

目次

■「正しい知識が届かない」──現場で感じた危機感から始まった

――坂元先生がJASCATを立ち上げた背景を教えてください。

スポーツの現場でたくさんの子どもたちを見てきましたが、一番感じたのは「正しい知識が届いていない」という現実でした。

たとえば、SNSで見た“バズる食事法”をそのまま真似して、体調を崩してしまう子がいる。「○○だけ食べれば筋肉がつく」「プロテインを増やせばいい」など、断片的な情報だけが一人歩きしてしまっていたり。

保護者も指導者も真剣だからこそ、間違った方向に頑張ってしまう。その結果、ケガをする子や、食べることが嫌いになってしまう子を何人も見てきました。

保護者向けの講習会でも、私の話を聞いて、「目からうろこが落ちた気分です」「不安ながらもやってきたことが間違ってはいなかったと安心しました」と嬉しそうにお話しされる方や、逆に「子どものために良かれと思ってしていたことが、間違っていたのですね・・・」と感想を述べられる方も多くいました。

■専門家だけのものではなく、みんなで学べる場にしたかった

JASCATの理念はとてもシンプルです。「子どもを支える大人が、共に学び合う文化をつくる」こと。

従来のスポーツ現場は、指導者・トレーナー・栄養士・保護者がそれぞれ別の立場で関わってきました。でも本当は、みんな“子どもを支える”という同じ目的を持っています。その共通言語をつくるのが、JASCATの役割なんです。

■スポーツ栄養アドバイザー資格──「知識を広げる」ために生まれた学びの入口

――JASCATが認定している「スポーツ栄養アドバイザー資格」について教えてください。

この資格は、栄養士やトレーナーだけでなく、保護者や選手自身でも基礎的な栄養や正しい食事法が学べるように作った資格です。

講座では、成長期の食事、エネルギー補給、体づくり、ケガ予防、そして心のケアまでを一緒に学びます。「専門的な知識を難しく伝える」のではなく、「現場で実際に使える形」に整理してあるのが特徴です。

たとえば、受講者には栄養士だけではなく子どものために学びたいお母さん、栄養指導を受けて食事に興味を持った野球選手やサッカー選手、選手のケアを担当しているトレーナーなど。目的は違っても、“適切に成長したい”という同じ気持ちで学んでいます。

だからこそ、費用もできるだけ抑えました。「資格を広めたいから安くした」のではなく、誰でも参加できる“学びの入口”にしたかったんです。

知識を持つことは、力になります。でもそれは、上から教えるものではなく、「一緒に考えるための言葉」なんです。

■“学び直し”が生む変化──保護者も、指導者も変わっていく

講習を受けてくれた方たちから、たくさんの変化の声をいただいています。

あるお母さんは「無理に食べさせるより、一緒に笑って食卓にいる時間が大切なんですね」と話してくれました。ある監督さんは「これまで“食べろ!”と怒鳴っていたけれど、今は“よく頑張ったな”と声をかけるようになった」と。そうやって“支える大人”の意識が変わると、子どもたちの顔つきも、食事に取り組む意欲も変わるんです。

食事を楽しめるようになったり、練習中の表情が明るくなったり。それが、日々のトレーニングの結果につながります。私はそれを見るたびに、「学ぶことの力」を実感します。

■学びは、知ることではなく“考え続ける力”

私はよく大学の学生たちにも伝えています。「学びは“知ること”で終わらない。“考え続ける力”を育てることが、本当の学びだよ」と。

食育も指導も、正解が一つではありません。だからこそ、常にアップデートし、自分なりの答えを探していく姿勢が大切です。

JASCATも、これから全国で講座やフォーラムを開催しながら、“学び合いの文化”を広げていきたいと思っています。スポーツを通じて、人を育てる。その中心に「食」があると信じています。

■編集後記(BBPARK編集部より)

坂元先生の言葉を聞いていると、「食」「学び」「支える」という3つの言葉が何度も重なって聞こえる。それは、単なる資格制度ではなく、“文化をつくる運動”そのものだ。

専門家だけでなく、保護者や選手自身が“学ぶ側”として関わること。その新しい学びの形が、きっと日本のスポーツ現場を変えていく。

次回の最終回では、坂元先生が語るBBPARKの「セカンドオピニオン」との共鳴、そして保護者・指導者へのメッセージをお届けする。

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