― 1979年夏・延長18回を投げ抜いた男が語る“甲子園の記憶” ―
1979年夏の甲子園、「箕島対星稜」。延長18回、257球――。
“神様が創った試合”と呼ばれた伝説の裏には、一人の投手の静かな覚悟があった。
12月6日、甲子園歴史館で開催されるトークイベント「残していきたい甲子園物語」を前に、
箕島高校のエース・石井 毅さんが、あの夏の真実と、これからの高校野球への思いを語る。
「勝ち負けよりも、“諦めない”を貫いた試合」
延長に入っても投げ続けた18回。
石井さんがマウンドで感じていたのは、「勝つため」ではなく
「最後まで責任を持って立ち続ける」ことだった。
「途中からは、スコアも時間も意識していなかったですね。
投げられるうちは、自分が責任を持ってマウンドに立つ。それだけでした。」
勝ち負けを超えた場所にあったのは、選手たちの“諦めない心”。
18回を終えたあと、胸に残ったのは「やっと終わった」という安堵、
そして“通じ合った感覚”だった。
「星稜も本当に強かったです。
お互いの気持ちが、どこかで通じ合っていたように思います。」

「任せる」采配が生んだ信頼関係
箕島高校を率いたのは名将・尾藤公監督。
「細かく言わない」「最後は任せる」――その采配がチームの芯をつくった。
「尾藤監督の言葉で一番覚えているのは“自分で考えろ”です。
試合中も練習中も、最終判断は自分に委ねられていた。
怖さもありましたが、信じてもらっている実感が力になりました。」
延長18回の最中、監督はほとんど言葉を発さなかった。
だが、その沈黙こそが信頼の証だった。
「何も言われなくても伝わる。
あの沈黙こそ、尾藤監督の指導そのものでした。」
「257球」は美談ではなく、“時代の事実”
今では「投げすぎ問題」や球数制限が議論される時代。
石井さんはそれを否定せず、静かにこう語る。
「257球を今の感覚で良し悪しは語れません。あれは“時代の事実”です。
大切なのは、どんな時代でも“諦めない力”をどう守るかだと思います。」
“任せる指導”の背景にあったのは「信頼」。
尾藤監督の哲学は、データの時代になってもなお色あせない。
「数字やデータで動かすのも大事。
でも、最後に人を動かすのは“信頼”です。」
勝敗の先に残った「絆」と「変化」
延長18回を共に戦った星稜の山下靖さん、加藤直樹さん。
今では互いを“同志”と呼び合う関係になった。
「再会しても野球の話はほとんどしません。
“よく倒れなかったな”って笑い合うだけ。
もう“敵”じゃなくて“仲間”なんです。」
延長15回を過ぎた頃、石井さんの中で“自分”は“チーム”に変わった。
勝利よりも「仲間を信じること」――それが、あの試合を支えた真の力だった。
「あの瞬間、自分はもう“個人”じゃなくて“チームの一部”でした。」
「諦めない」とは、立ち続けること
「うまくいかなくても、立ち止まってもいい。
でも、やめないこと。
諦めないというのは、前に進むことじゃなくて、立ち続けることなんです。」
石井さんが甲子園から学んだのは、「努力」ではなく「継続」だった。
高校球児へも、こうエールを送る。
「すぐに結果を求めると、野球が苦しくなる。
続けていれば、必ず報われる瞬間が来る。
結果を焦らず、信じる力を大切にしてほしい。」
「野球は人生の縮図」──語り継ぐ意味
「語り継ぐのは、過去を飾るためじゃない。
迷ったときに立ち返る“足場”を残すためです。
勝敗を超えて、人を信じる力を伝えたい。」
45年の時を経てもなお語られる「箕島対星稜」。
それは過去の美談ではなく、今を生きる人への“教訓”だ。
12月6日、石井毅さんは再び甲子園を見つめ、その“静かな熱”を言葉にする。
🎤 イベント詳細
📍 甲子園歴史館 多目的ホール
🗓 12月6日(土) 16:00〜17:30
🎙 テーマ:「残していきたい甲子園物語」
(箕島 vs 星稜 延長18回の真実と、これからの高校野球へ)
当日は、星稜高校の山下靖主将、加藤直樹さんも登壇予定。
🎟 チケット情報
本日10:00より チケットぴあ にて販売開始
👉 石井毅の残していきたい甲子園物語
※甲子園歴史館 入館券付き
🖋 取材・文=BBPARK編集部
