チェコ代表が見た“アジア野球の真実”
合田哲郎インタビュー|第1回 裏側編:遠征の舞台裏と文化交流
はじめに
2025年11月、韓国ソウルで野球チェコ代表と韓国代表による親善試合シリーズが開催されました。チェコ代表チームはKBO(韓国野球委員会)から手厚い受け入れを受け、11月7日夜にはソウル市内のホテルで歓迎レセプションが開かれています。KBOの具フヨン総裁やチェコ駐韓大使、チェコ野球協会会長らが出席し、「両国の野球文化を共有し発展を模索する意義ある場」として交流を深めました。また、チェコチームの移動にはKBOが大型バス2台を手配し、練習や試合会場への移動も円滑に行われました。
この遠征には、日本チェコ協会副会長で全国通訳案内士の合田哲郎さんも同行しました。チェコ代表はプラハから仁川までアシアナ航空の直行便で来韓し、合田さんは仁川空港でチームに合流。選手の荷物運びを手伝ったり、練習会場へのチームバスに同乗して見学を許可されるなど、細やかなサポートを行いました。例えば、WBC2023で佐々木朗希投手の死球を受けたウィリー・エスカラ選手には、日本のグローブメーカーに特注したグラブを預かって空港で手渡す一幕もありました。

遠征環境とチームの様子
Q1. 韓国遠征中に、舞台裏で特に印象に残った出来事は?
合田哲郎:選手たちが全員個室ではなく相部屋だったこと、そして奥様やパートナーを同伴していた選手がいたことです。さらに、遠征に際して選手の多くに手当てが支給されなかったという点も印象に残りました。
Q2. 韓国での滞在や移動での印象的な一コマは?
合田哲郎:高尺スカイドームのシャワー室にタバコの吸い殻が固まって床に捨てられていたことです。
チェコ代表チームは試合に向けて高尺スカイドームで2日間の練習を行い、外野フェンスの跳ね返り確認や投内連携など基本事項を入念にチェックしました。ただしチェコチームには専任の打撃投手がおらず、フリー打撃ではコーチ陣が自らマウンドに立って投球する必要があり、「コーチ陣もクタクタ」になるハードな練習となったそうです。
Q3. KBOによる受け入れ体制をどう感じたか?
合田哲郎:昨年の台湾遠征でも、総統と謁見したり台北市内を観光したりと、大変手厚いもてなしを受けました。そのため、「アジアではこういうものなのかな」と思いましたし、スポーツと政治が結びついているように感じる場面もありました。

現地での食事と文化体験
Q4. 韓国の食事や文化への適応は?
合田哲郎:コンビニエンスストアは日本の方が上だと全員が声を揃えていました。また、クレジットカードは使えてもタッチ決済ができない店が意外と多い点にも驚いていました。焼肉については、日本のタレで食べるスタイルの方が好みに合うようです。ホテルの客室環境は台北>名古屋>ソウルの順で良かったようですが、ホテルで提供された食事(ビュッフェの料理)はソウル>名古屋>台北という評価でした。
遠征中の滞在環境も整えられており、ソウル市内のホテルでは朝昼夕すべてビュッフェ形式の食事が用意されていました。種類豊富な料理に選手たちは「大満足」と喜んでいた様子で、昼食時には韓国風のユッケ(生肉料理)に挑戦する選手もいたようです。もっとも、さすがに毎日ビュッフェが続くと飽きも来るようで、試合後には「おいしいけど毎日同じで飽きた」と感じた10代の若手選手4人がホテル近くの焼肉店に繰り出す場面もありました。

オフタイムと小さな発見
また、練習後や夕食後の自由時間には、選手たちがソウルの街を積極的に楽しむ様子も見られました。11月7日には希望者が郊外の野球専門店を訪れ、日本メーカーの用具はもちろん韓国独自ブランドのグラブなども見比べて、予定時間を30分オーバーするほど熱心にショッピングを楽しみました。
別の夜には内野手のマレク・メンシーク選手とオンドジェイ・ポスピシル選手から「繁華街に行ってみたい」というリクエストがあり、合田さんが明洞まで同行して韓国ならではの買い物を満喫したそうです。
さらに、練習会場のダグアウトに備え付けられた冷蔵庫で、フィリップ・チャプカ投手が日本製スポーツドリンクの「ポカリスエット」を見つけて大喜びする場面もありました。試合当日には、韓国人歌手がチェコと韓国両国の国歌を独唱し、KBO総裁とチェコ大使が揃って始球式を行うなど、式典も国際色豊かな演出がなされています。

(第2回「選手編:選手たちの反応とエピソード」に続く)
